初めてなんだから優しくしてね「しゅごキャラ!」

まだ生理も来ていない(たぶん…)女の子に子作りを強要するのは犯罪です。交際の第一歩はラブレターからというのが日本における恋愛の常道でした。
ところが変わり者の姫には変わり者の虫が拠ってくるものです。
春宮(とうぐう)妃の出産祝いに訪れた綯鹿姫の父親に虫の話題を振ったのは細工仕事の得意な若者でした。
(春宮妃)「按擦使(あぜち)の大納言様、この者は乳母の弟で細工仕事の天才ですのよ」
(霊音)「霊音鳴人(れおなるど)と申します。若君のお守役を仰せ付かっております。」
若者は得意の蝶の玩具を取り出し羽ばたかせてみせるのでした。それは生きている様に優雅に産屋の中をを翔け周り、一向に落ちる気配を見せません・
(霊音)「コンディションがよければ半刻は飛んでいられます。」
(大納言)「見事なものじゃ。太古の唐土に実物そっくりの鳶を作った名工がいたが、君はそれに優るとも劣らぬな」
(霊音)「春宮妃さまは幼い頃から蝶がお好きだったと聞き及んでおります。確か大納言様は御宅がお隣だったとか」
(春宮妃)「そうそう、お嬢様がもう御成人(裳着)なさっておいでではないのですか?幼い頃お会いしただけだけど、可愛くお成りでしょうね。」
春宮妃の言葉に大納言は決まりの悪いことこの上ない。
(大納言)「いや、お恥ずかしい言ってくださるな。世間では「虫姫」などと渾名される不肖の娘でございます。全ては私の教育の及ばぬところ、お妃様とは較べようもございません。毛虫も蛙も蛾や蜘蛛でさえも手掴みで気後れせぬ鬼っ子でございまして、どこの物好きが嫁に欲しがって呉れ様かと、北の方(正妻)ともども嘆き入ってばかりでございます。」
大納言は冷や汗を拭き拭き恐れ入るのでした。
(春宮妃)「まあ、それはご心配でございますね。近頃は殿方でも虫は苦手と仰る方が多うございますのに。随分勇敢にお育ちになっていたとは存知あげませんでしたわ。」
(霊音)「とは言いましても、矢張り姫様は姫様。何か一つくらいは苦手な生き物がおありなのではないですか?」
(大納言)「敢えて言えば、長虫(蛇)ぐらいでしょうか。姿を見ただけで大騒ぎして寄り付きもいたしません。」
(春宮妃)「まぁ、可愛らしい処があるではございませんか。本当は女の子らしい姫様なのですわ。」
(霊音)「春宮様は蝶が苦手ですがお妃様には並々ならぬご寵愛でございます。殿様のお姫様にもきっとお似合いの旦那様が名乗り出られるのではございませんか?昔から『忍ぶれど』と歌にもございますし。」
(春宮妃)「そうですわよ。蓼喰う虫も好き好きですわ。」
(霊音)「お妃様。それはフォローになってません。」
そんなやりとりがあった数日後、綯鹿姫に差し出し人知れずの贈り物が届きます。使いの者の曰く「生ものですのでお早めにお召し上がりくださいますようとの口上でございます。」
この時代小包爆弾とか、時限装置、無線誘導などはありませんでしたから、包みを受け取った女房は何の疑いも無く姫様の元へ届けます。
(女房)「もしかしたら、ラブレターかも知れませんわよ」
と、半ば冗談で御前に差し出したのですが、姫様は傍目でも分かるほど動揺してしまいます。
(姫)「ら・ぶ・れ・た・あ???そ、そんな。そんな。何で、私に?厭だわ、何からかってそんな事。そんな事。第一、男の人からだなんて、分かってもいないのに。第一、花や小鳥なんかだったら、私貰っても困るし。私に似合わないでしょ。困る。困るわ、そんなの」
女房はニヤニヤしながら姫様の普段にない様子に少し満足です。
(女房)「誰も『男性から』などと申しておりませんよ。姫様もお年頃なのですから、恋文の一つや二つ貰っていても当たり前なんですけどね。この歳になるまでついぞ音沙汰無しで」
(姫)「人のことはいいから、早く開けて見なさいよ。贈り間違いだったら、本当の贈り主に迷惑くでしょう。」
(女房)「京の何処の大納言様の娘に『虫愛ずる姫君』様が二人もいるもんですか。姫様だけですよ。」
と、ほのぼのと和やいだ空気だったのはここまで。
包みを解いて現れたのは、姫の苦手な長虫だったのです。トグロを巻いて今にも這い出しそうに小刻みに身震いしています。
女房たちの驚くまいことか。悲鳴を挙げて姫の部屋から退散します。
姫はというと、恐怖のあまり凍りつきその場にへたり込んでしまいました。
(姫)「これは何かの間違いだわ。」
と、日頃信心している阿弥陀様に念仏を唱えるのでした。
(姫)「前世では私の親だったかも知れませんものね、どうか娘を噛み殺さないで下さいまし。」
などと震え声で言ってみるのだけれども、蒼ざめたまま生きた心地もしないで懸命に平静を保とうとしているのでした。
遠巻きで様子を伺っていた女房たちは、毛虫や蜘蛛などは慣れている姫君が蛇にだけは取り乱す様子が面白く思えて、怖いながらも興味深々で大騒ぎです。
その騒ぎは本殿の殿様にも聞こえてきたので、一家の父親として放っておくわけにもいかず、おっとり刀でやってきました。
(大納言)「何ということだ、姫が危ないというのに見捨てて逃げ出す女房がいるものか。お前たち普段は姫の相手もしていないのに、こういう時こそ役に立てなくてどうする。」
頼りなく見えても娘の危機に男気を見せてこその父親です。
すぐさま震える姫を抱き上げて包みから遠ざけると、持ってきた太刀の鞘で蛇の頭を突付いてみます。
どうも様子が違う。よくよく見れば、その蛇は作り物で実に精巧に細工された皮革細工でした。
(大納言)「何だ。作り物だよ。綯鹿よく見てごらん。」
(姫)「え?作り物?偽物なの?」
(大納言)「文が付けてあるな。なになに『永く変わらぬ心を持つ私です。這いずりながらもお慕いいたしております』じゃと。結構洒落の分かる御仁と見える。」
父は娘が懸想されたのだと知って大満足。筆跡から中々の教養を持った人物だと推測され、先日の春宮殿の細工上手の若者の仕業だと直感したのでした。
(大納言)「普段からの奇行が男の悪戯心を刺激するんだよ。折角の懸想文なのだから返事を書いておやりなさい。男女の仲の礼儀だからね」
(姫)「え〜?」
(大納言)「え〜?じゃないよ。こういう時にチャンとしてないと誠実な姫だと思われないよ。洒落には洒落で返す。姫を何処かで見かけて気に入ってくれたんだから。」
カタカナしか書けない綯鹿姫に母親と筆頭女房が付きっ切りで即席コーチ。七転八倒して漸く完成したラブレターの返事を、門前で待っていた使いに手渡して、これから姫と霊音鳴人との交際がはじまるのでした。
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ツッパリ、きっぱり、意地っ張り「しゅごキャラ!」

日本人以外の視聴者がこのエピソードを視たとき、日本人とはどういう民族なのかということが三つ分かります。
一つは王族に対し尊敬心を持ち決して憎しみを抱いたりしていないこと。
二つにはそれでいて人種や身分で人間としての尊厳が損なわれていたりしていると思っていないこと。
三つ目には身分・職能は自分の努力願望で実現できることであると堅く信じていること。
そんな日本人ですが、自身はそういう思想を形成したのは永い年月に培われた歴史の所産だということをさっぱり意識していません。生まれたときからこういう考えでいるのが当たり前だと思っているから、世界には違う考えの人間がいることなど意識したことが無いのです。
日本以外の国なら召使と主人が対等の問題意識を持ち、共に悩み、共に喜び合う場面があるなどとは夢想しません。両者は住んでいる世界が違うので立っている位置が違うのが当然だと考えるのです。
それはそのまま王族と平民に当て嵌まります。子供が共に同じ教室で学んだり、将来の夢を語り合ったりなど出来るはず無いというのが常識なので、日本のアニメが何の迷いも無く金持ちと貧乏人が友達づきあいしている場面を描くと戸惑ってしまうのです。
綯鹿姫が平民を子分にして虫集めに興じているのは中国思想(道教)の影響ではありません。日本人は古代から日本語という共通の土台があり、日本語を操るということは同じ人間だという信念でせいかつしているからです。
確かに一方は大納言の姫君で、一方は近郊の農民の子かもしれません。でも、虫遊びが好きで虫に対する知識なら貴族平民関係なく議論も批判も理想も語り合えるという身分を越えた共通の世界を共有できているのです。
古代の段階でこうなのですから、近代近世に到っては身分の差というものは急速に接近して当たり前。「仮面の共産主義国」と謂われる所以です。
流石に遊び仲間では平民相手でも、結婚相手となるとそうは簡単にいきません。綯鹿姫も番茶の出花の年頃(十三四)になると、嫁探しの貴公子仲間でも話題になります。勿論好い評判では在りません。大納言の一人娘は年頃になっても化粧も出来ない和歌も読めない落ち零れ姫だと散々です。
それでも奇特な若者はいるもので、
「一目でも見てから決めても損はあるまい。なにせ大納言家の一人娘上手くすれば逆玉だもの。」
と、忍んでやってきた公達がいました。
姫様はというと相も変わらず子分供あいてに虫談義の真っ最中。深窓の令嬢だというのに庭先に出て大声で笑い合ったりジャレ合ったり。今日も得意の「万物平等論」を展開しています。
(姫)貴方たちこの前「前科者」の子を虐めていたでしょう。親が酸っぱい葡萄を食べたら子供の歯が疼くとでもいうの。親の罪は親の罪、子の罪は子の罪じゃないのかしら。
(けら)そんなこと言っても「親の因果が子に報い」って近所の爺っさも言ってたしなぁ。
(ひき)姫様だって「蛙の子は蛙」て俺のことをいってたじゃないかよぉ
姫様はぼうぼうの眉毛を顰(しか)めて「度し難いわね貴方たちは」と、こぼします。
昔の聖人に足斬りの刑にあった先生がいました。学友が批難して曰く。
「君と僕とを一緒にしないでくれ給え。君は今まで身を慎まなかったからそんな目に遭ったのだ、今更勉強したところで手遅れだろう」
聖人の嘆いて曰く。
「自然は私に二本の足を与えてくれた。片方無くなったのは運命と言うもので、そんな過去のことなど疾うに忘れてしまっているよ。同じ師匠から教えを受けているのに、そんな偏頗な心を持っていること自体が恥ずべきことじゃないのかね。」(出典:「荘子」内篇、徳充符第五)
(けら)姫様、言っている意味がわからねよ。
(姫)罪や生まれつきで不具者になったことなんて本来の人間の徳には関係ないってことよ。まして、親が立派であろうが前科者であろうが、子供に何の関係も無いわ。人は人自分は自分。その人の努力次第で聖人にもなれるし仙人にもなれるのよ。
子分たちは相変わらずの姫様節に相槌をうつものの、茶々を入れることを忘れません。
(ひき)そんなこと言ったって、姫様もお婿様は公達の中から選ぶのじゃろ
姫様はさすがにどぎまぎして、照れ隠しに言い訳する様が結構可愛い。
(姫)ば、莫迦なこと言わないでよ。私はまだお婿さんなんて考えていないんだから。
(けら)だったら姫様、なんで紅くなってんだぁ
(姫)うるさい!うるさい!!うるさい!!!(釘宮調)
垣間見していた公達。評判ほどでもない姫の普通さに好印象です。
「お化粧していなくてあの愛嬌なら、眉を剃ってお鉄漿(はぐろ)をしたらどんなに美しくなることか」
そこで、ついつい悪戯心が騒ぎ出すのでした。
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玉の輿には興味なし「しゅごキャラ!」

たとえば、現代の常識では若い女性は腋毛を剃って無駄毛のお手入れも丁寧にするのは当たり前。
そこに、いい家庭のお嬢様が「そんなのは偽善よ!自然に生きるのが人間の正しい生き方でしょ。」とか嘯いて、腋毛も鼻毛も伸び放題、水着の端から体毛の一部が覗いていたとしたら、どんな美少女でも男の子からは相手にしてもらえないことでしょう。
綯鹿(ナウシカ)姫はそんな常識外れの女の子だったのです。
流石に両親も心配して
「姫や。そんな構わない身なりだとお婿さんが寄って来ないよ。お願いだから人並みにお洒落をしておくれ。」
と、やんわり宥めても、聞く耳もちません。
「いいのよ、お父様お母様。そんな上辺しか見ない男なんてこっちからお断り。私の人間的本質を尊重してくれる人でなくっちゃ結婚しても意味無いわ。そうでしょ。」
と減らず口ばかり叩くのです。
そうして読書に飽きると、手下のやんちゃ坊主たちと昆虫採取や蛙採りミミズ掘りなどに興じ、ちっとも花嫁修業に見向きしてくれません。末は主上(天皇)のお后か大臣の北の方になろうかというやんごとない身分の姫がこんなことでは世間の笑われ者と、本人と遊び友達以外は気に病んでいたのでした。
一の子分螻蛄男(けらお)とでぶっちょ蟇蛙麿(ひきまろ)が取っ組み合いの喧嘩を始めたときも、お姫様は諸肌脱いで仲裁に乗り出し二人を窘(たしな)める
のです。
姫「止めなさい!螻蛄男、蟇蛙麿!そういうのを『蝸牛角上の争い』というのよ!」
けら「何だよぅお姫さまぁ?そのカギュウカクってのは」
ひき「クワガタかカナブンの仲間かぁ?」
「ふふん!」と綯鹿姫は鼻で笑って得意満面に講釈します。
姫「蝸牛というのはカタツムリ(まいまい)の事よ。唐土(もろこし)ではこう呼ぶの」
荘周先生の友人である恵子が戦争好きの王様にお目通りしたときのことです。
(恵)王様これをどうお考えですか?『カタツムリの右の角に「触国」左の角に「蛮国」がありました。二国は大層仲が悪く片方が侵略しては何万人もの兵を殺し、また片方が報復に何万人も屠るという戦いを繰り返していたのです』
(王)そんな話は絵空事。余の政治とは何の関わりもないわ。
(恵)それではこの話を絵空事でなくして差し上げましょうか。『一体この世界の上下左右十方無辺、果てが有るとお考えに成れますか?果てを意識した途端その又果てがあると考えて仕舞うのではありませんか?』
(王)そう謂われればそうかも知れん。この世の果てなど見た者も聞いた者もおらんじゃろう。
(恵)ではその世界の果てからこの世を見た場合はどうでしょう。天下の中に大海があり、大海の中に漢土がある。その又漢土に王様の国があり、豆粒ほどの王都があるのです。王様の国と「触」「蛮」の国とどれ程の違いが有るというのでしょう。王様のお好きな戦とは「蝸牛の角の争い」というものでございます。(出典:「荘子」雑篇、則陽第二十五)
姫「というお話なのよ。分かった?」
けら「よく分からんけど、要するに『団栗の背比べ』じゃと言いたいんじゃの」
ひき「さすがは姫様。物知りじゃ」
姫「分かったなら、それでいいわ。二人ともお菓子を上げるから今日採った虫の世話をして頂戴ね。」
とまあ、こんな具合で餓鬼大将の親分姫は満悦至極なのでありました。
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移り気じゃないの正直なの「しゅごキャラ!」

美少女と見分けのつかない美少年。美少年と見紛う美少女の話は「とりかえばや物語」
今回は初恋の彼氏「シュウちゃん」から最近の彼氏「いいんちょ」まで、亜夢ちゃんの愛の遍歴のお話。
なにしろ襁褓(むつき)が取れた頃には従兄弟を射程圏内にロックオンする早業。後生畏るべし。そりゃあ愛のエンジェルも懐く筈です。
いくら終身結婚が流行ではなくなったとはいえ、一度も異性に言い寄られない人生なんて寂しいじゃありませんか。ましてや現代と違って女の幸せは子孫繁栄、家名を挙げる子をたくさん産み育てた母が評価される社会においては。
「虫愛ずる姫君」は名前が伝わって無いので、仮に綯鹿(ナウシカ)姫と呼んでおきましょう。
大納言家の一人娘ですがお嫁入りにはとんと興味が無くって、日がな読書三昧と小童供を呼び集めては昆虫蒐集に興じる問題少女です。
大体「荘子」を諳(そら)んじている少女なんて学者の家系に生まれた者でも、門前の小僧よりマシな程度なのですから、「超」がつく変わり者です。
この時代のお姫様だったら「貝合わせ」とか「囲碁」「管弦」「絵巻物」が履歴書の趣味の欄に並んでなきゃいけません。料理・裁縫は御付の女房衆に任せるとして、最低限マスターしておかねばならないのが読み書き。
これは「和歌」でラブレターを自由に書きこなせないと一人前の淑女として扱ってもらえないという事なのです。
それがこの姫様ときたら漢文は得意な癖に平仮名はさっぱり。普段の手紙や日記には専ら片仮名だけで用を足している無骨者でした。
成人の儀式を済ました(初潮を迎えた)というのに、餓鬼大将達を集めては青虫毛虫芋虫の育成談義に花を咲かせています。女房衆や女童供が近寄らないのも道理。
綯鹿姫は日奈森シュウではなく「荘子」(名は周)に頭の先からお尻の端までどっぷり浸かった生活に満足を覚えているのでありました。
(姫)在るがままの姿がいいのよ。お化粧なんて愚の骨頂。
南海の帝(みかど)をシュクといい、北海の帝をコツという。中央の帝を混沌と言った。
三人の帝は中央の地で出会って混沌が手厚く二人をもてなしてくれた。
帝たちが相談して言うには「人には普通七つの穴が備わっている。それなのに混沌帝には何も無い。どうだろう、ここは我らで混沌帝に穴を備えて歓待のお礼をしてやろうじゃないか。」
シュクとコツの帝は日に一穴づつ混沌に穴を穿っていった。
混沌は七日目にして死んでしまった。(出典:「荘子」内篇、応帝王第七)
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真紅なんか恐くない「しゅごキャラ!」

見えないものは恐れないけれど見えるものに恐れてしまう。
怖がりというのは厄介なものです。
亜夢ちゃんは苦手なものがたくさんある。小学生ならなおのこと、しゅごキャラ以外は信じません。見た目のグロより心の闇に本能的な恐れを抱いてしまうのでしょう。
「毛虫はやがて蝶になる」そう分かっていても蝶も蛾も同じ扱いというわけに行かないのが人の固定観念というヤツです。
虫愛ずる姫君とは小さい頃に出会ったのが「荘子」という書物だったからこそ、そういう風変わりな生き方をするようになったのだと思います。
「荘子」は古代支那において諸子百家と謂われた中でも、儒家墨家の現世利益的な思想に異を唱える道家の思想書に分類されます。
全体の十分の九を「寓言」つまり「寓話」が占める例え話の宝庫です。
例え話というと西欧で有名なのはイソップ寓話ですが、イソップが一般論を特殊論に仮託して人生の原則を導き出そうとしたのに対し、「荘子」は特殊論を一般論に仮託して人生の哲理を説こうとしている点が鮮明だといえるでしょう。
北の果ての海に巨大な魚「コン」がいる。その大きさは何千里あるか知れない。という気宇壮大な話から「荘子」は語り始めます。
コンは或る時、鳳(おおとり)に変化する。鳳は南の果ての海へ飛び立とうと九万里の上空へ舞い上がる。空の蒼は果たして本来の蒼であるか誰が知ろう。九万里という距離がその蒼に見せるのであって上空から見下ろせば下界も蒼に見えるのだ。
雀やミソサザイはそんな鳳を見上げて囁き合う。「我らは梢から梢に飛び移るのが精一杯なのに、何で九万里も飛び上がる必要があるんだい」
彼らには鳳の飛翔が理解できない。スケールが違いすぎるのだ。(出典:「荘子」内篇、斉物論第一)
大納言家の姫様はそんな雄大な例え話に圧倒されたに違いありません。広大無限の世界に較べ、人間社会のなんてちっぽけで矮小なことか。宇宙の中の現世。現世の中の日本。日本の中の近畿。近畿の中の京。京の中の貴族社会で出世争いや栄華を競い合う人間。
お姫様の空想は「荘子」との出会いによって北の果てから南の果てへ、極少の卵から極大の鳳へと自由闊達に飛翔して自分の人生を展望させるのでした。
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蜜を求めて花から花へ「しゅごキャラ!」

お着替え亜夢ちゃんはちゃんと下着もコーディネイトして欲しいのに着せ替え人形と同じで下着は一種類。しかも身体にへばり着いていたりする。そんなことじゃあお風呂にも入れません。
「花よ蝶よと育てられ。」とはよく聞く慣用句ですが、蝶も芋虫も蜂も蟻も、昆虫類は隈なく嫌い!!というお母さん方が増えています。これも酪農牧畜を生業とする家庭が身近にいない都市化の大弊害でしょう。
日本人は花や植木ばかりに血道を上げて来たのではありません。百獣百鳥百虫百草は言うに及ばず、雑草や野辺の小花生きとし生ける物、人が丹精込めたもの、自然現象から音曲画工彫刻を偏頗(へんぱ=片寄る)なく愛で親しんできたのではなかったのですか?
小奇麗なモノ衛生的なモノばかりを好み、不衛生だ不恰好だと天然の自性を無視した生き方を強行するのは「美し」「清し」「善ろし」といった良序良俗を歪めた歪な価値観だと思います。
千年以上も前にそんな考えを持ったお姫様がいました。
王朝文学の珠玉短編集「堤中納言物語」の1編「虫愛ずる姫君」の主人公です。
このお姫様は大納言家の一人娘で愛読書は「荘子」
人(貴族)が嫌う芋虫やら毛虫やら百足やら蝸牛(かたつむり)、蛞蝓(なめくじ)、螻蛄(おけら)などを幼い頃から好んで飼育蒐集しているのでした。
遊び友達も年頃の女の子達や女童(下女)ではなく、元気のいい小童(こわっぱ)や餓鬼大将。家の中で閉じ籠もっているのが大嫌いで、庭や敷地を駆けずり回っては泥だらけ、汗まみれになって大声ではしゃぎ回るという破天荒な性格でした。
お世話係の女房や侍従たちは、やんごとない身分の深層のお姫様が何とも嘆かわしいと気を揉むのですが、両親は娘のしたい様にさせる教育方針で、「とりかえばや」の様に男装をしたいなどと言い出さないだけまだマシだと、諦めている風情でした。
それでは、前回までの「落窪物語」の紹介がひと段落着いたので、今回からは「堤中納言物語」のエピソードを述べてみることにいたしましょうか。
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なりたい自分は恥ずかしい「しゅごキャラ!」

とは言っても美人で素直な子だったら不幸も向こうから避けて行ってくれるでしょう。
意地は張り続けると疲れるものです。健康にも善くありません。快食快便が一番。溜め込んだり直ぐ出たりは身体の色んなところに不調を来たすものなのです。
りまちゃんも一度溜まったモノを出してスッキリしてから出直しです。
そうしてもう一人。二人も子供を生み出したというのに、出せない思いに苦しんでいたのが落窪姫。夫が「もう少し」「もう少し」というものだから、実家に消息を言えなくて我慢の日々、子育てが落ち着いた今こそ幸せになった自分を見て欲しいと願っていたのでした。
新居祝いがお開きになった翌日。中納言家は総領を筆頭に次男三男と男供が雁首揃えて衛門督の御前へ参上します。三男はつい先頃元服したばかり。利発そうな紅顔の美少年に成長していました。
彼らを接待に来た女房が姿を現して「三郎様お久しゅうございます。」と声を掛けられたので一同吃驚。見れば嘗てより貫禄と威厳を増した落窪付きの古女房ではないですか。
立ち往生している以前の主人筋一同は案内されて奥に通されると、悠然と待ち構えるのは我が子と睦みあう衛門督。
(督)「いや、皆様方よう来られた。そこでは話も出来ません。もそっと、近くへお出でなさい。」
と、上機嫌です。狐に抓まれた中納言一同。
そこで真打、落窪姫が乳飲み子を抱えて登場し全ての種明かしをするのでした。
(督)「これ(落窪姫」)が早く早くとせっついても、私ぐっと堪えてこの日の来るのを待ち侘びていましたぞ。長年耐え忍んだ妻の日々に比べ、ほんの二三年の逆境が皆様にどれ程身に沁(し)みたか分かった上での仕打ちでした。全ては我が恨み辛(つら)みの生したこと。これ(落窪姫)には慈愛こそあれ一片の讐(あだ)も残っていないのですよ。」
衛門督はここぞとばかりに長広舌。家屋敷は直ぐにでもお返しするから、一刻も早く老中納言と継母を連れて戻ってらっしゃいと、恩着せがましく労'(ねぎら)うのでした。
これで恩讐の関係は一挙に解決。中納言家は大臣家と縁続きになり、万事が丸く納まって。理想的な太平楽が実現するのです。
実は、ここまでが「落窪物語」の前半部分。後段はこれでもかこれでもかの恩返しと親孝行話が繰り返されていくのですが、余りにもくどく冗長なので割愛させていただきます。
さて、これまで延々と敷衍してきた「落窪物語」ですが、お気付きの方もいらっしゃるかも知れませんが、どう見ても幼児向き教訓譚ではありませんよね。強いて言えば、ハーレクイン。大文学ではなくて軽妙愉快なライトノベルそのものです。
ということは、この物語が編まれた平安朝後期というのは雨後の竹の子の様な種種雑多な小説群とそれを支える読者が存在していたという証明でもあります。印刷物の流通が無いこの時代でこれだけの状況だったのですから、近世に到って爆発的に印刷作品が刊行されることになれば、どんな盛況な業種になるか明らかでしょう。
少女漫画もその延長線上にあること。そして千年も昔のこの物語群が決して色あせないことを考えれば、先達の作家たちの聡明さに改めて頭が下がる思いです。
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こんな赤ちゃんが産みたいの。「しゅごキャラ!」

子供の下着を親が買い与えているうちは大丈夫。下着を自分で買ったり洗ったりし始めるのが自立の目覚めであります。世間とは違い「穿いてない」亜夢ちゃんの場合、「穿くように」なったときが大人の階段といえるのかも知れません。
今週はややちゃんの弟(乳児)との絡みが母性と女性を刺激して、女性陣の旗幟が鮮明に描写されていました。「子は親の鏡」とはよく言ったものです。
さて葵祭りにもケチがつき。益々不興が募る継母はこれ以上いの出世が見込めない夫の覇気の無さににも意気消沈し、屋敷のリニューアルに本腰を入れます。仮住まいに家財道具一切を移して、植木から築山泉水に至るまで領地の膏血を吸い取った全財産を注ぎ込み大臣家と張り合うほどの豪邸の完成を目指したのでした。
そして吉日を選び大量の引越し荷物を運び入れ、いざ片付けにと乗り込んだ中納言家の家来は門前で通せん坊を喰らいます。一足先に大臣家の若夫婦一家が乗り込んで来ていて、中納言家の先払いを追い払ったのです。
引越しの総指揮を取っていた中納言家の総領息子は泡青くって新居の門前に駆けつけます。するとそこには女房の夫であるガードマン主任が出張っていました。
(総領)「なんということだ!お前は以前クロード殿の家来で、逐電した女房の夫だった男。それがどうしてこの場に居る?」
(夫)「何を仰る。どうしてと聞きたいにはこちら方です。中納言家は何の権利があってこの家屋敷に乗り込もうとなさる。この土地の権利は当方にあるのですよ。お上に訴えれば辱をかくのはそちらでしょうに。」
もう総領には何が何やら分からなくなり親父殿に相談する為その場を立ち去るしかありませんでした。
すっかり耄碌したとはいえ中納言、早速大臣殿へ直談判に出かけます。
(中)「大臣閣下。どういうことでございましょう。我が家累代の家屋敷をお宅の息子殿が横領とは。これが日頃『仏の大臣』と呼び慣れて公明正大で通している閣下のご薫陶なのでしょうか?」
(大)「うむ。それに関してだが、息子の衛門督の申すことには、権利書(沽券)はこの通り間違いなく我が物であるとの返事があったのだ。嘘偽りをいう息子ではなし。しからば中納言殿に沽券はおありか?」
(中)「そ、それは行方知らずとなった娘と共に紛失したもの。正当な持ち主は当方でございます。」
(大)「ならばその旨、息子に掛け合って見られるが良かろう。息子は客人を招いての引越し祝賀宴会で忙しいから三日後ならお会いできるとのこと。事情を話せば道理の分からぬ子ではない、悪いようにはせんだろう。」
そう言われては中納言もすごすご退散。継母始め一家の衛門督を怨むまいことか。長年の嫌がらせの果てが一家を路頭に迷わすなど人(貴族)とは思えぬ非道ぶりに蛇蝎の如く呪詛嫌悪の対象になっていったのでした。
(継母)「落窪はきっと金に困って沽券を譲り渡したに違いない。ああ、さっさと爺さんの嫁にしておけばこんな憂いも無かったものを。後悔先に立たずとは、このことだ!!あの恩知らず女」
と、どこまでも救いの無い婆さんです。
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穿いてないにも磨きがかかってきました!「しゅごキャラ!」

おっぱいが膨らむ前に老化されては人生の楽しみが消え失せてしまいます。
人生五十年から百年に倍増しているのですから、現在の十二歳は太古の六歳。七五三の真っ只中だと思ってもいいでしょう。
ということは太古の十七八は現在の三十三四歳。落窪姫も子作りの最盛期です。
夫の中将は中納言に昇進。同時に衛門督(えもんのかみ)を兼ねるというトントン拍子の出世です。
石山寺観音、清水寺参詣、と当時のイベントを垣間見て来ましたが年中恒例行事というと「加茂の祭り」に止めを刺します。別名「葵祭り」です。
この年も一家総出で良い席を陣取ろうというのは古今同じの場所取り模様です。
当然権勢を誇る大臣家は一等席を占領悠々と殿様参観を決め込みます。
ところが大勢の行列を作って練り歩いて行くと予定地の側にこじんまりとした女車が止めてあります。
「何だ、他にも場所があるのにわざわざ我が家が陣取った側に車を止めなくてもいいだろう」
不快に思った落窪姫の旦那は女房の夫である主任ガードマンに注意を促します。
あに図らんや、その車は中納言家の継母一行の車でした。
「今を時めく大臣家の中納言様のお出ましなのだぞ。もそっと横に寄ったらどうだ!」
左大臣家の先触れが中納言家の家来に威丈高に臨みます。
ところが継母の方も負けていません。
「何を理屈の通らないことを言ってるんだい。縄張りより外に止めているのに。いちゃもん付けるのも程々におしよ。まして、同じ中納言の身分でどっちが偉いもあるもんかね。」
こんな小癪なことを言われては復讐の鬼と化した衛門督は放っておくわけがありません。
とうとう両者の間は口喧嘩から実力行使に移ります。
間の悪いことにその騒動の真ん中に薬師の狒々爺がいたから堪りません。
女房の夫から「あいつがそうです」と告げられた衛門督。
「やっちまえ!!」とアイコンタクトでブロックサインを送ります。
可哀そうに狒々爺は行き掛けの駄賃に袋殴り。車に引き摺られて人事不省で虫の息です。
この様子を見て震え上がった継母は尻に帆掛けて逃げ支度をしますが時既に遅く、幌を止めていた綱を寸断され、勢い余って地べたに転がり落とされてしまいます。
衆人環視の中でのこの狼藉三昧。貴人が一般庶民に姿を見せるなど、海水浴場で水着が流される場合の比では無い程の屈辱なんです。トイレを盗撮されネットで目線なし実名で公開されたも同然の恥辱を味あわされたと同じと思ってください。
継母は泣く泣く夫の中納言に事の顛末を訴えますが、中納言としても相手が悪いと尻込みする一方です。
それでも世間の口に戸は立てられません。余りの惨い仕打ちに父大臣の耳にも事件の噂が聞こえてきます。息子が何かと中納言家を目の仇にするのは全方位仲良し交際を旨とする大臣家としては都合が悪いのです。
「太郎よ、どうした。日頃は人当たりのいいお前が、わざわざ敵を作る振る舞いをするなど、とても信じられんぞ。」と、やんわり問い詰めます。
衛門督は何処吹く風。
「いや、ほんの行き違いですよ。いやだなぁお父さん。僕がそんな酷いことするわけないじゃないですか。あの中納言さんには何の遺恨もありませんてば」
「そうかそうならいいんだ。」と、何処までも身内には甘い貴族社会です。
言ったその裏で舌を出す衛門督。妻の復讐もいよいよ最終段階と練りに練った計画を女房夫婦と打ち合わせに余念がありません。落窪姫はというと二人息子の子育てや夫の母や乳母、小姑達との交際で得意の針仕事に大童。旦那が浮気の気配も無いので幸せの絶好調です。
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日本の文化は変態に寛容です。「しゅごキャラ!」

亜夢ちゃん産みの卵子に愛想尽かされて自暴自棄です。自力で成長して(肥満して)キャラチェンジとか恐ろしいこと言ってます。まだ妊娠してとか言い出さないだけ理性は残っているようです。
さて、清水寺での復讐で中将が満足したかというと継母の懲りない態度により敵愾心をつよめていきます。それというのも二児の母になっても益々可愛さが増す我が妻への愛情の裏返しといえるでしょう。最早宮廷に彼と張り合うだけのライバルは存在していないので、八方美人ではいられない人の子の性で、意地悪のはけ口を必要としていたのでしょうね。
なにせ落窪姫との純愛を貫く余り、貴族社会では常識であった一夫多妻を否定して「帝の娘を呉れる」といわれても貴女だけしか身も心も通わせないと宣言してしまったのですから。
現代の基準でみても世界でそんな非常識が通るのはキリスト教と落窪姫の旦那ぐらいなものです。作者はさんざんな女通いをしていたぼんぼんをここまで夢中にさせる姫の魅力を強調したかったのでしょう。でも、そう言うなら四の姫だって負けず劣らず駒くん一人っきりだったんですけどね。
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捨てる娘あれば拾う娘あり「しゅごキャラ!」

新ジャックから一方的に「失格」の烙印を押され、新クィーンからはジョーカーを脅かすクラウンを見せ付けられて意気消沈の亜夢ちゃん。
五月になる前に四月病になって落ち込む日々が続きます。
深刻な亜夢ちゃんに比べ落窪物語の復讐劇は何とも古代らしく優雅なものです。
中納言家はクロード君にも去られ、押しかけ亭主の駒くんを煙たがり、昨年までのゲンを直そうと正月の過ぎた縁日に清水寺へ泊り込みの参拝をしようと計画を練りました。
ところが天の配剤かこうなる運命か狭い京都の狭い貴族社会では、催事はかち合うものです。
参道の坂道を中納言家の牛車がのろのろと登って渋滞を作っているところに、大臣家の若夫婦(落窪姫と中将)の行列が追いすがって来たのです。
(中将)「なんだか前の方が渋滞してるなぁ。何処のドライバーなんだか注意してやれよ」
と、先触れの従者に命じたところ「中納言家の車です」という返事。
(中将)「なんと!参拝前にご利益があるとは。ここで仕返ししなくちゃ夫が廃るぜ!」
とばかりに家来に命じて中納言家の牛車を無理矢理道端に避けさせ、追い越して行きます。
車輪を片方溝に落としてエンストした中納言家の牛車に「様見たことか!」と悪態を浴びせ澄まし顔で去っていく中将は愉快爽快ですが心優しい落窪姫は気の毒でなりません。
(落窪)「あんなになさらなくても、いいじゃありませんか。人に恨まれるのが厭なのは私が良く知っていますのに。」
(中将)「いいんだよ。いずれ僕らの方から事実を告げる日が来たら笑い話で済ませるようにしてやるから。」と、どこまでも悪びれないお坊ちゃんです。
(継母)「畜生!どこのどいつだい。四の姫の婚儀といい、三の姫の離婚といい、何かにつけて難癖をつける大臣家の中将って奴は!ろくな死に方をしないよ。月夜の晩だけじゃないからね!!」
負けず嫌いの継母は、まだ落窪姫に通っていた男がその本人だとは気付いてないのでした。
何とか苦労惨憺の末宿坊に着いて見ると、予約していた部屋がまたもや中将夫婦に乗っ取られています。部屋係の小坊主が予約の客と勘違いして入れてしまい。元々の中将の予約部屋も他の客の相部屋として満室になってしまっていたのでした。
(継母)「どうしてくれるのよ。お寺の不手際でしょ。宿の手配をして頂戴!」
継母必死の抗議も、空しく宿無しの一行は寒空に狭い車の中で一夜を過ごすしかないのでした。
可哀そうではありますが、なんとも京都的な意地悪です。この程度のパワーハラスメントなら現代でも日常茶飯事。訴訟に持ち込むにも足らない三面記事ネタです。
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亜夢するよりも産むが易し「しゅごキャラ!」

亜夢ちゃんは今回の出産に関して「身に覚えが」あったのでしょうか?三人を出産した時よりも狼狽(うろたえ)ています。
家族が増えてもお祝いをしてもらえないしゅごキャラ哀れ。せめてお姉さんやお母さんから祝福してもらえないなんて、「落窪物語」四の姫みたいです。
一方の落窪姫の方は順調に二人目を授かり育児に養生に大忙し。夫の少将は中将に昇進して身分は中納言と同等になります。なにせ大臣家の跡取り息子、末は大将か大臣かと前途洋洋。飛ぶ鳥を落とし花も恥じらう伊達男と都の内に外にと鳴り響く名声です。
財力にモノを言わせて新居に傅(かしず)く使用人を高給で引き抜き駆り集め、門前市を生し、訪問者や御用聞きが惹きもきらず押すな押すなのてんやわんやになっています。
一人忙しく八面六臂の敏腕を振るう女房は、抜かり無く中納言家からも小奇麗な童女や使用人を釣り上げています。おかげで只でさえ勢いの無くなった中納言家は益々斜陽に拍車がかかり、雇用ブラックリストのナンバーワンとなってしまう有様です。
せめて家屋敷を抵当に入れて資金不足を改善しようとするのですが、元来中納言家の敷地は落窪姫の母親から引き継いだモノ。その権利書は落窪姫が母の形見と共にしっかり握っていたので、法律的には中納言家は居候に過ぎないと言うことに漸く気付くと言う有様なのです。
それでも継母は居直って、「落窪は行方不明になったのだから、実際に居住している私共が正当な地主なのよ。」と、リフォームで心機一転を企てます。
迷惑千万なのは中納言の領地の納税者です。欲張り継母の息子たちに骨の髄まで搾り取られたその上に、増改築の費用まで捻出させられるのですから。
そんな評判は直ぐに中央にも聞こえてきます。そしてそれは暫く抑えていた大臣家の若殿の復讐心の火に油を注ぐ結果となるのでした。
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